9月のシルバーウィークに休みをとって、晩夏の悪沢岳と赤石岳を縦走してきました。
南アルプスの南部にあたる山々は非常にアクセスが悪いのですが、その分北アルプスとは異なり人も少なく落ち着いた山行を楽しむことができます。
今回、椹島ロッジを拠点として1泊2日で悪沢岳と赤石岳を縦走してきました。
さらにカメラ初心者の私がSONYのα6000と標準キットレンズを持って、パシャパシャと写真も撮ってみましたので、登山とカメラに興味がある方にも読んでもらえると嬉しいです。
(筆者がカメラについては完全に素人なので、「素人が頑張って写真を撮っている」という目で見守ってもらえればと思います)
全3回に分けてお送りするこのレポートですが、2回目の今回は”椹島からの悪沢岳登頂編”です。
Part 1 椹島ロッジ宿泊編
Part 2 悪沢岳登頂編 ←いまココ
Part 3 赤石岳登頂→下山編
それでは「Part 2 悪沢岳登頂編」どうぞ!
椹島ロッジから右周りで進むか左周りで進むか
椹島ロッジを拠点として悪沢岳と赤石岳を縦走しようとする場合、以下の2つのルートを選択することができます。
右回りルート
椹島ロッジ⇒赤石岳⇒悪沢岳⇒椹島ロッジ
左周りルート
椹島ロッジ⇒悪沢岳⇒赤石岳⇒椹島ロッジ
今回私は左回りルートを採用したのですが、これが完全に正解でした。これから向かわれる方にも圧倒的に左回りルートをオススメしたいと思います。
右回りルート (赤石岳⇒悪沢岳) |
左回りルート (悪沢岳⇒赤石岳) |
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良いところ | ・割と早めに富士山が見える(ただし後ろ側なので振り向かないと見えない) | ・道が広く岩場も少ないためストックが使いやすい |
悪いところ | ・赤石岳手前の登りがかなりの急登 ・道が狭く岩が多いためストックを使いづらい |
・樹林帯が長いのでなかなか視界が開けない |
とにかく椹島ロッジから赤石岳・悪沢岳に登るためには標高差2000mを直登する必要があります。ここで強い味方になってくれるのが体を押してくれるストック。
椹島ロッジから赤石岳に向かうルート(右回りルート)はかなりの急登に加えて岩場が多く、ストックが使いづらいです。
この点だけと言えばこの点だけですが、ストックの使用可否は2000mの標高差を踏破するには大きな要素ではないでしょうか。
【レポート】椹島ロッジから怒涛の樹林帯急登をこえて千枚小屋へ
椹島ロッジを出て10分ほどで悪沢岳への登山道のつり橋に到着しました。
日の出前の薄暗さに加えて、空が曇っていてよりいっそう薄暗いです。どうか晴れてください。。。
つり橋を渡って、いきなりの急登を30分ほど登ると鉄塔が出てきました。
とりあえず鉄塔があったので下にもぐって写真を撮ってみましたが、なんのメッセージ性もないドンヨリとした雲が印象的な写真になりました。
先ほどの鉄塔を過ぎてからも変わらずの登りが続き、朝から汗だくです。
ふと前を見るとまた鉄塔が出てきました。あまりに景色が似ていたので、同じところをクルクル回っているような気分になります。
ですが、スマホで現在地を確認すればちゃんと前に進んでいます。元気を出して再び歩みを進めます。
二個目の鉄塔から5分ほど歩くと、地図にもある”岩頭見晴”に着きました。
看板にも書いてあるとおり、ここまで頑張って登ったのにこの先はけっこうな下りが待っているようです。勘弁してくれ。。。
こちらが”岩頭見晴”からの景色。すっごいドンヨリした空がばっちり見えます。
岩頭見晴から進むと林道とぶつかります。伐採などで割と頻繁に車が通るみたいです。
もくもくと進んでいくと、定期的にこのような看板が出てきます。分数は千枚小屋までの距離を表しています。
まだ2/7だと。悪い冗談はやめてくれ。
椹島ロッジを出発して2時間ほどで、地図にもある水場の清水平までやってきました。
椹島ロッジを出てから初めての水場です。水が豊富な南アルプスですが、悪沢岳へのルートにはあまり水場がないのでここでしっかり補給するようにしたほうが良いと思います。
水量も豊富なので枯れる心配はないと思います。
ここに来て初めて少しだけ展望が開けました。”見晴台”として地図にも記載がありますが、若干登山道から外れたところになりますので見落とさないように注意が必要です。
ですが相変わらず、うすーくガスがかかっています。
椹島ロッジを出発して約2時間半。千枚小屋までの一番の写真スポットの駒鳥池に到着しました。
ここはすごくきれいな場所と聞いていたので、期待しながら少しだけ登山道をそれて寄り道します。
うぉぉぉおおお。すっごい苔です。池というよりは、沼を苔が覆っている感じです。
この日は平日だったせいもあり、ここまで誰にもすれ違わずに来ることができました。当然白駒池も独り占めです。
モッフモフ。しばし独り占めの白駒池で写真を撮ります。苔がきれいだ。
白駒池を過ぎると千枚小屋はもう目と鼻の先です。自然と歩くスピードも速くなります。
出発から3時間半かけて千枚小屋までやってくることができました。気が付けばガスも晴れ、最高の青空に変わっています。(正直あまりの登りでの疲労によりガスがはれていることに全く気が付きませんでした)
小屋の中はこんな感じでとてもきれいです。いつかここにも泊まりに来てみたいなぁ。
千枚小屋の水場はなんだか頼りない感じでした。これ枯れないのかな。。。
【レポート】千枚小屋から快晴の悪沢岳山頂を経て荒川小屋へ
千枚小屋を過ぎると急に周囲の木の高さが低くなります。低木の作る、気持ちの良いこもれびの道を進みます。
こもれびの道を抜けると目の前の景色が一気に開けました。右に悪沢岳、正面に明日に登頂予定の赤石岳がそびえたちます。
悪沢岳の先にある中岳山頂にはチョコンと避難小屋が見えます。こうやってみると悪沢岳までもまだまだあるな。。。
千枚小屋から30分ほどで千枚岳の山頂に到着しました。雲の切れ間から富士山も見えています。
南アルプスから見る富士山は本当に大きく見えます。
千枚岳の次は丸山です。名前のとおりまんまるとした山容がかわいらしい山です。
丸山に向かう途中にハシゴが設置されています。このハシゴ、すごいグラグラする。。。
降りてる途中でひっくり返るのではないかと、かなり心臓に悪かったです。
丸山の山頂からも悪沢岳、赤石岳が良く見えます。いい景色だったので愛用しているifyouhaveのザックを主役に写真を撮ってみました。
手ぬぐいがなんかダサいですね。でも登山のときの手ぬぐいは濡れてもすぐに乾くのでマストアイテムだと思っています。
丸山を通り過ぎてふと後ろを振り返ると、まんまるシルエットの向こうに富士山が見えました。
この丸山。ほんとうにまるくてかわいいので、個人的にはけっこうお気に入りの山頂です。
丸山を過ぎると、いよいよ悪沢岳への最後の登りとなります。急に大きなゴツゴツとした岩が増えてきます。
名前のとおり徐々に悪い感じが出てきました。
きちんとルートも整備されているので浮石も多くなく、見た目よりもかなり歩きやすいです。
ひょいひょいひょいと石の上を歩いていくと、ついに悪沢岳の山頂に到着です。
椹島ロッジを出発して約6時間半。急登もありながらなかなかの良いペースでやってくることができました。
悪沢岳の山頂からは赤石岳から聖岳、南アルプスの3000mの稜線が一望できます。
せっかくの景色なので三脚を取り出して自撮りしてみました。
ここからがけっこう驚愕したのですが、悪沢岳から隣の中岳まで一度かなり下ってまた登り返します。
正直ここまで歩いてきた足には絶望的な登り返しです。中岳山頂の避難小屋がものすごく遠くに見えます。
とかなんとか文句を言いながらも悪沢岳の山頂から1時間程で中岳山頂の避難小屋にやってきました。
避難小屋と言いながらこちらでは宿泊することもできますし、コーラやビールなども買うことができます。
喉が渇いたので小屋に入ってコーラーを買ったのですが、この避難小屋のご主人かとてもステキな方でしたので立ち寄ることをオススメします。
これからのルートの相談にも乗ってもらえて助かりました。
避難小屋のご主人に別れを告げて、今日の宿泊地である荒川小屋を目指します。
荒川小屋は中岳山頂から300mほど降りた、中岳と赤石岳の間にある小屋です。荒川小屋に向かう途中のルートのカールが、ザ・カールという感じのえぐられた山肌です。
南アルプスは鹿によって高山植物が食べられていると聞いたことがありますが、ここでもこのように鹿よけのネットがありました。扉を開けて中に入ります。
椹島ロッジを出発して8時間、やっと今日の宿泊地の荒川小屋が見えました。
荒川小屋の手前にある水場に来ましたが、ここもなんだか頼りない水場です。そもそも水量が少ないので、水をくむのにも苦労するレベルです。
はい!ということで今日の宿泊地の荒川小屋に到着しました。
のですが、このときまだ14時前。がんばれば赤石避難小屋にも行けてしまいそうな時間。
荒川小屋は西側が斜面に面していて夕陽が見えないのと、赤石避難小屋まで行ってしまえば翌日はゆっくり朝日を見ることができます。
けっこう悩んだのですが、、、
荒川小屋にテントを張って泊まることにしました。
というのも、テント場の正面に富士山が見え、テント場自体もフラットですごく気持ちがよさそうだったからです。
(この写真だと富士山が雲でほぼ隠れてしまっていますが。。。)
テントを張ってしまえば特にすることもないので、ダラダラして過ごします。
残念ながらテント場から夕陽を見ることはできませんが、夕陽に染まる富士山はきれいです。
ということで明日はクライマックスの赤石岳を登頂し、椹島ロッジに帰ります。
南アルプスの縦走は続きます!
